「ECサイトの集客力をアップさせて売上を伸ばしたい」
「ECサイトに実施すべきSEO対策ってどんなこと?」
「ECサイトでのブログの書き方がよくわからない…」
このように頭を悩ますEC担当の方も多いはず。
この記事では、ECサイトに必要なSEO対策、同じくWeb集客に有効なコンテンツマーケティング(マーケティング手法の1つ)としてのブログの書き方について解説します。地道にSEO対策とコンテンツマーケティングを実施することで、ユーザーの訪問数が増加し売上が伸びる可能性が高まります。
施策が複数あるので、どの施策を行うべきかを見極めながら確認していきしょう。
SEO対策とは
SEO対策とは、Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略であり、検索エンジンに対してサイトの内容を理解しやすいように最適化するための施策のことです。
検索エンジンには主にGoogleやYahoo、Bingなどがあります。サイトにSEO対策を実施することでユーザー(人間)に対しても理解しやすい内容となり、結果的に検索結果画面の上位に表示され、多くのユーザーが訪問するようになります。
ECサイトにSEO対策が必要な理由
企業が運営するコーポレートサイトやサービスページに限らず、ECサイトにもSEO対策が必要です。
ECサイトの集客方法
新規顧客がECサイトへ流入する経路には、「検索からの自然流入」「Web広告からの流入」「SNSからの流入」の3種類があります。それらに対応するように、Webマーケティングには「SEO対策」「Web広告の出稿」「SNSマーケティング」があります。
ECサイトの集客にはSEO対策がおすすめ
コストをかけずに成果を出したいのであれば、SEO対策を優先して実施するべきだと考えます。
SEO対策の効果が現れるのには6か月程度必要だと言われています。しかし一度の最適化の取組みが比較的低コストで長期的な効果をもたらします。
また、SEO対策はユーザーファーストであるかを基準に対策を実行するため、サイトの質が向上します。その結果検索エンジンが高評価を与え、検索結果の上位に表示されるようになり検索からの自然流入が大幅に上昇します。
SEO対策は即効性を求めず低コストで成果を出したい場合におすすめです。
Web広告については、出稿するためにはコストがかかります。その分成果も大きいですが、出稿を取り止めれば集客力は弱まっていくでしょう。
長期的な効果を得るためにはコストをかける必要があるため、大企業などの資金面で余裕がある組織や個人でない限りはおすすめできません。
また、SNSマーケティングを行うためにはコンテンツの長期的な計画を練る必要やデザインや画像の加工、エンゲージメント(ユーザーとの繋がり)の管理に時間と労力を費やすというデメリットがあります。
プラットフォームの流行り廃りにも対応する必要があることもおすすめできない理由の1つです。
ECサイトのSEO対策
では、ECサイトのSEO対策にはどのような施策があるのでしょうか。一般的なSEO対策に加えてECサイトならではの施策も併せてご紹介します。
カテゴリ | 施策 | 備考 |
---|---|---|
SEO内部対策 | タイトル・見出しタグの最適化 | |
メタディスクリプションの設定 | ||
キーワード選定 | ||
階層構造の最適化 | ||
パンくずリスト | ||
内部リンクの最適化 | ||
画像altの設定 | ||
商品ページの充実 | ECサイトならではの施策 | |
ユーザーレビューの登録 | ECサイトならではの施策 | |
販売終了ページの対策 | ECサイトならではの施策 | |
重複コンテンツの改善 | ECサイトならではの施策 | |
短いURL | ECサイトならではの施策 | |
SEO外部対策 | 被リンク | |
SNSサイテーション | ||
その他 | XMLサイトマップの登録 | |
モバイルフレンドリー対応 | ||
ページ表示スピードの向上 | ||
常時SSLの設定 |
ECサイトの内部対策
まずはSEO内部対策についてです。やや技術的な話になりますが難しくはありません。1つ1つ見ていきましょう。
タイトル・見出しタグの最適化
WebサイトはHTMLという言語を利用して画面上に文字や画像を表示しています。そして、HTMLの「タグ」という記述方法で「この部分がタイトル」「この部分が見出し」ということを示しています。
タグの設定については細かく覚える必要はありませんが、そのページに適したタイトルと、内容に適した見出しを設定する必要があります。
タイトルは検索結果の画面で表示され、ユーザーがクリックするか否かを見極める重要な情報です。
そのため、検索キーワードを含めてユーザーの検索意図を酌んだタイトル、またクリックしたくなるようなタイトルにすることが検索からの流入を増加させるポイントです。
見出しも同様で、内容に相応しい見出しを付ける必要があります。内容と見出しが合っていないと、ユーザーはそのサイトに違和感を感じWebサイトから離脱してしまいます。
メタディスクリプションの設定
メタディスクリプションタグには、そのページにおける要約文を設定します。
検索結果のタイトルの下に表示され、検索キーワードは太字で強調されるため、ユーザーの目に留まりやすくなります。クリックをしてもらうためにメタディスクリプションにもキーワードを入れ、しっかりと記述しましょう。
キーワード選定
タイトルや見出し、メタディスクリプションに含めるべきキーワードはどのように選定するのでしょうか。それは、ECサイトで扱う商品のカテゴリ名や商品ジャンル名、扱っているサービスのテーマでキーワードを考えます。
このとき、検索回数が多いビックキーワード(「時計」などの1単語のキーワード)は競合が多いため避けるようにしましょう。競合が少ないキーワードを選定するためには、ロングテールキーワードと言われる3つ以上の単語を組み合わせた複合キーワード(「時計 メンズ アナログ 」)を考えます。
具体的な選定方法については、別の記事でお伝えします。
階層構造の最適化
ECサイトに限らず、Webサイトはユーザーにとってわかりやすい階層構造にする必要があります。わかりにくい階層構造ですとユーザーはサイトから離脱し、別のサイトを探し始めます。
ユーザーがストレスなくサイト内を回遊できるようなわかりやすい階層構造を心掛けましょう。
パンくずリスト
階層構造を最適化したらパンくずリストを表示させましょう。
パンくずリストは、上記のように現在表示されているページがどの階層であるかを示すものです。パンくずリストがあることによって、ユーザーが今サイト内のどこを見ているのかがわかったり、見たい階層のリンクをクリックすることで直接その階層へ飛べたりするので利便性が高くなります。
内部リンクの最適化
内部リンクとは、同一Webサイト(同一ドメイン)内のリンクのことです。
別の記事へのリンクや、異なる階層へのリンクも内部リンクです。ユーザーはサイトを利用する際、内部リンクを辿って様々なページを閲覧するため、適切な内部リンクの設置が利便性に繋がります。
適切に内部リンクが貼られていないとユーザーの離脱を招くだけではなく、サイトを巡回するクローラ(検索エンジンのロボット)も同じく内部リンクを辿ってサイトの内容を読み取るため、内部リンクを適切に設置する必要があります。
内部リンクの最適化は、検索結果の順位に影響する大事な施策です。
画像altの設定
altとはHTMLのaltタグのことで画像の代替テキストとして設定します。
元々は音声読み上げ機能のために設定するものですが、SEO施策としても有効です。altタグにはその画像を説明する文言を設定します。
こうすることで何らかが原因で画像を読み込めなかった場合に、代わりに設定した文言が表示されるため、何の画像であったかをユーザーが分かるようになります。
また、altタグはクローラにとっても有用です。画像についてはまだ完璧に認識できないと言われているため、altタグを設定してクローラにも何の画像であるかを伝える必要があり、結果としてサイトの評価が上がる一因となります。
商品ページの充実
複数の商品写真を載せたり、分かりやすい説明を載せたりとユーザーファーストを考えた商品ページを作成します。
ユーザーは「商品ジャンル」と「商品名」を掛け合わせたり、「品物名」と「その品物に関係するお悩みワード」を掛け合わせたり、あらゆる複合キーワードで検索します。
それらのキーワードを意識して商品説明の文章を作成することで、ユーザーファーストにもなりロングテールキーワードで検索にヒットするようになります。
充実した商品ページを見たユーザーは、他のECサイトで得られなかった確信を得て購入に進むはずです。
オンラインで洋服を買うとき、モデルの身長と何サイズを着ているかが記載してあるサイトは、個人的にとても分かりやすいと思います!
ユーザーレビューの登録
ユーザーレビューが集まるとロングテールキーワードでの流入増加を見込めます。
また、ユーザーにレビューを登録してもらうことで口コミが決め手となって購入へ進む可能性が高くなります。以下のグラフからもわかる通り、全体の約7割程度がユーザーレビューを参考にしていることがわかります。
ユーザーレビューは仕組みさえあれば労力少なく対応できる施策なのでぜひ取り入れてみましょう。
販売終了ページ対策
ECサイトならではのSEO施策として販売終了ページ対策が挙げられます。
販売終了もしくは欠品状態の商品ページをそのまま放置しておくのはユーザーにとっても検索エンジンの評価にも良くありません。一時的な欠品状態であればその旨を追記したり、販売終了であれば類似商品へのリンクを載せるべきでしょう。また、商品ページを完全に削除する手もあります。
重複コンテンツの改善
重複コンテンツの改善についても、ECサイトならではのSEO施策です。
検索エンジンは、ほとんど同じページやよく似ているページを重複コンテンツとみなしWebサイトに対し低評価を与えます。例えばアパレルのECサイトにおいて、Tシャツのサイズ違いや色違いでそれぞれ商品ページがある場合は、検索エンジンは悪意のない重複コンテンツとみなしますが、稀に誤った判断をされる場合もあります。
対策としては、サイズについては同一ページでプルダウンなどでサイズを選べるようにし、色違いについてはcanonicalタグでURLの正規化を行いましょう。
canonicalタグは、色違いで複数の商品ページがある場合に代表となる商品ページのURLを設定(URLの正規化)し、検索エンジンの評価を集中させたり検索結果に代表ページのみを表示させたりするときに使用します。
短いURL
ECサイトにおいてはカテゴリの階層が深くなりがちでその分URLが長くなってしまう傾向があります。
URLの長さが検索結果の順位に直接影響を与えるとは言えませんが、短くシンプルで分かりやすい方がユーザーにとってもクローラにとってもわかりやすいと言えるでしょう。
ECサイトの外部対策
ECサイトにおいても外部対策は重要です。どのような外部対策があるのか見ていきましょう。
被リンク
被リンクとは「リンクを受ける」ことで、外部のWebサイトが自サイトのリンクを貼ることです。
良質なサイトからリンクを獲得することは、検索エンジンからも高く評価されます。そのため、良質なサイトからの被リンク数は多ければ多いほど自サイトも良質なサイトとみなされます。
ECサイトが被リンクを獲得するためには、ユーザーは役に立つようなブログ記事などのコンテンツを作成することが必要です。
注意点として、内容のないWebサイトから大量に被リンクを獲得する自作自演行為は検索エンジンに悪質とみなされペナルティが与えられます。そのような行為は絶対にしないようにしましょう。
SNSサイテーション
SNSサイテーションは、SNS上で自社の情報や商品について言及されることを言います。
サイテーションは「被リンク」には含まれませんが、言及されることで拡散され評判が広まったり、SNSからユーザーが流入し集客力を向上できるなどのメリットがあります。商品ページやブログ記事に各SNSのシェアボタンを設置しておくことでSNSサイテーションを得やすくなります。
その他
SEO内部対策・外部対策以外にも、重要な対策があります。今回は4つ紹介します。
XMLサイトマップの登録
XMLサイトマップとは、Webサイトの構成や更新情報がXMLという言語で記述されたファイルのことです。
GoogleではサーチコンソールというツールからXMLサイトマップを登録することで、検索エンジンにWebサイトの存在や内容を認識してもらいます。その結果、検索結果にWebページが表示されるという仕組みになっています。
尚、莫大な量のWebサイトをクローラが巡回して新規のWebサイトや更新情報を認識しているため、自発的にツールからXMLサイトマップを登録しないと検索エンジンの認識が遅くなってしまいます。早めに認識してもらうためにも、Webサイトを更新したらXMLサイトマップをツールで登録しましょう。
モバイルフレンドリー対応
モバイルフレンドリーとはスマートフォンなどのモバイル端末用に表示を最適化し、ユーザーの操作性・利便性が向上するように対応することです。
務省によると、端末別のインターネット利用率は2021年時点でスマートフォンがパソコンを大きく上回っていることがわかっています。スマートフォンが普及した今日ではモバイルフレンドリー対応は必須と言えるでしょう。
端末別のインターネット利用率(個人)は、「スマートフォン」(68.5%)が「パソコン」(48.1%)を20.4ポイント上回っている。
出典:令和4年版 情報通信白書 | 総論(総務省)
ページ表示スピードの向上
Webサイトにアクセスした際、ページがなかなか表示されずストレスを感じるのは、誰しもが経験することだと思います。表示スピードについてもユーザーが離脱する要因の1つであることがわかっています。
Googleによると、ページの読み込み時間と離脱時間は以下のような関係があることが報告されています。
ページ読み込み時間 | 離脱率 |
---|---|
1~3秒 | 32%上昇 |
1~5秒 | 90%上昇 |
1~6秒 | 106%上昇 |
1~10秒 | 123%上昇 |
Webサイトの表示スピードは PageSpeed Insights によって調べることが可能です。多くの場合、画像を圧縮することで表示速度が改善されます。使用方法については別の記事で解説いたします。
常時SSLの設定
SSLとは、Web上のデータ通信を暗号化しセキュリティを高める仕組みのことです。SSLが設定されているとURLが「https://」から始まり、ブラウザのURLに鍵マークが表示されます。
Googleは2014年に「SSL化したWebサイトを優遇して評価する」と公式に発表しています。このような背景もあり、信頼性を担保する常時SSL化が求められます。現在常時SSL化されていない場合は、担当エンジニアに確認してみましょう。
参考:ランキング シグナルとしての HTTPS(Google検索セントラル)
ECサイトの集客にはコンテンツマーケティングも重要
テクニカルなSEO対策を実施したからと言って、検索順位が飛躍的に向上するということはありません。SEO対策を実施していないサイトに比べれば検索エンジンから相対的に高評価を得ることができますが、最も大切なことはそのサイトがユーザー目線であるかどうかに尽きます。
このユーザー目線になってコンテンツを作成するのがコンテンツマーケティングの考え方です。
コンテンツマーケティングとは
コンテンツマーケティングとはWebマーケティング手法の1つで、ユーザーの興味や行動などの状況に合わせて最適なコンテンツ、顧客にとって価値のあるコンテンツを提供し続けることでマーケティング課題を解決することです。
ECサイトにおけるブログの重要性
コンテンツマーケティングの代表的な手段として、ブログが挙げられます。ECサイトではブログを立ち上げることが集客力の向上と売上アップに結び付くと私は考えています。
マーケティングの前提として、商品名で検索するユーザー(顕在顧客)はECサイトに訪問してもらえれば高い確率で商品を購入してくれますが、商品名で検索すると検索結果の上位には大手のECサイトやモール、更には広告費を投資した競合が表示されるため、中小のECサイトでは顧客獲得効率が悪くなります。
一方、潜在顧客は購入見込みが顕在顧客よりも低いため、大手や競合は労力を割きません。そのため中小規模のECサイトが参入しやすいのです。
また、潜在顧客は顕在顧客よりも圧倒的に数が多いという特徴があります。
このような潜在層に向けてブログを書くことで、ECサイトへのアクセス数を飛躍的に伸ばすことができます。
ECサイトにおけるブログ記事の書き方
ECサイトのブログにおいては、ただ闇雲に商品の良いところを書くだけで集客・売上アップに繋がるわけではありません。潜在顧客に対して価値があるコンテンツを届け、「自分が買いたいものはこれだ」と思ってもらう必要があります。
USB扇風機を取り扱うECサイトを例にブログ記事の書き方を説明します。
「USB扇風機」と検索する顕在顧客は、検索上位に表示された大手ECサイトやモールから購入に進みます。一方で中小規模のECサイトは「オフィス 暑い 対策」と検索する潜在顧客に購入してもらう確率高める作戦です。
検索したユーザーには「オフィスの体感温度を下げて快適な環境で仕事に取り組みたい」という潜在的なニーズがあると考えられます。そのため、USB扇風機の紹介だけではなく上記の潜在ニーズを取り入れた記事にする必要があります。
具体的には「遮熱カーテンを利用する」「サーキュレーターを設置する」「クールビズを取り入れる」「在宅勤務を推奨する」などです。
記事の最後にはまとめの章を書きます。ここまで読んでくれたユーザは記事の内容に納得してくれている可能性が高いため、まとめの章では売りたい商品を違和感がないようにおすすめします。
今回の場合だと、「手軽に実行できるのはUSB扇風機です。弊社のオンラインストアでは○○○が特徴で✕✕✕に優れているUSB扇風機を販売中です」の文章とともに商品ページのリンクを貼ります。自然な流れでおすすめすれば、ユーザがリンクをクリックし購入に進む確率を高めることができるでしょう。
記事を読んで内部リンクをクリックするユーザが多いと、検索エンジンからは「質の良いWebサイト」と評価されます。その結果、検索結果の上位に表示されるようになります。
このように、ユーザーのお悩み解決やお役立ち情報という観点でブログを書くことで、中小規模のECサイトでも検索結果の上位表示と顧客獲得が可能となるのです。
ECサイトでブログを書く際の注意点
ブランディングを優先する場合
アパレルなどブランディングを強く意識する分野に対しては、上記のような書き方をしない場合もあります。
着用画像を複数パターン掲載したり、素材感を言語化したり、実際に来店して確認したい内容をブログ上で説明することがユーザーに対して価値のあるコンテンツになります。
どの分野・業界にしても、徹底的にユーザー目線になり価値のあるコンテンツは何であるかを突き詰めて考える必要があります。
ECサイトにSEO対策とコンテンツマーケティングを実施し集客力をアップしよう
この記事では、ECサイトで実施すべきSEO対策とコンテンツマーケティングについてお伝えしました。
繰り返しになりますが、SEO対策やコンテンツマーケティングによる成果が現れるまで最低6か月はかかると言われています。それでもWeb広告などの他のマーケティング手法よりも低コストで一度施策に取り組めば継続的な効果が見込めることは大きなメリットです。
また、コンテンツマーケティングとしてのブログについても、作成した記事はどんどんとストックされていきます。随時内容の見直しは必要となりますが、継続的な効果をもたらしてくれるでしょう。
取り掛かりやすい施策から早めに対応を行うことで、近いうちにあなたがその効果を実感できることを願っています。